新薬、ください!★★★★★

 ふと立ち寄った駅前の本屋で、新刊を眺めていると、ふと視界の隅をよぎった名前がある。ん!?新薬、ください!―ドラッグラグと命の狭間で
 平積みされている本の著者名に、大学のクラスメートの名が…。手にとって確認すると間違いない。彼である。
 彼は日本テレビでカメラマン兼ディレクターをしており、ふだんのおちゃらけたキャラとは裏腹に、とても真摯なドキュメンタリー作りをするとは聞いていた。たまに飲みに行っても、なかなかその片鱗はうかがえないのだけど。普段「医療もの」に触手が伸びることはあまりないのだが、同級生の本とあれば買わない訳には行かない。
 本は、いわゆる「ドラッグ・ラグ」をテーマとしている。海外では認可された薬が、日本で認可されるまでに非常に長くかかる問題を、「ムコ多糖症」という超難病と戦う家族の姿を通して丹念に取材している。取材は多方面かつ長期にわたり、薬事行政をただ徒に非難するのみでなく、その背後にある様々の問題をきちんと解き明かしながら、それでいて患者の心にしっかり寄り添ったものとなっている。日本の民放テレビメディアには、こういう公平かつ真摯な姿勢こそが求められているのだと思う。
 しかし、良い仕事してるなあ!
 早速本人にメールすると、印税は、全額、寄付するとのこと。目に留めた方がいらしたら、是非手にとって読んでいただきたいと思った。