Life 天国で君に逢えたら★★★★★★★

ウインド狂いの日々

 週末、なっちゃんが保育園のキャンプに出かけたのをいいことに、映画に行ってきた。
 当然、観たのは「天国で君に逢えたら」。
 前にも書いたが、この映画はつい最近ガンで亡くなったウインドサーファー、飯島夏樹をモデルにしたものである。もとウインドサーファーの端くれとしては、観ない訳には行かない映画であった。
 自分は1990年にウインドを始めて、すぐにその魅力の虜となり、学生の身でありながら週に3回以上は海にいるという生活を送っていた。とうとう留年するほどに入れ込んだウインド生活の中でも記憶に鮮明なのが、1991年に静岡は御前崎で開催された「SOMETIME WORLDCUP '91」。ウインドサーファー憧れの地、御前崎で、ウインド仲間のボロワゴン車に野宿しながら一週間、ワールドカップを観戦した。
 他のスポーツと違い、ゲレンデが公共のビーチなので、プロ選手と一般サーファーの距離は、ある意味非常に近い。僕らも、当時のワールドチャンピオンをビーチで見つけ、一緒に写真に納まったりした。その写真は今でもリビングの中央に鎮座している。そして、飯島夏樹も、あの世界のプロたちの間にいたことを覚えている。彼は既に、日本のウインド界では、現役バリバリというより、一種のカリスマ的な存在だったように思う。
 当時のことを書き出すと、本当に止まらなくなるのでやめておく。その後結婚して子どもが出来た時、男の子でも女の子でも、どうしても「夏」の文字を使いたかった。そして、その第一候補は、男でも女でも、「なつき」であった。

平静でいられず

 正直、映画はあまり期待していなかった。彼の闘病は、ドキュメンタリーや小説で知っていたし、どうせこの手の映画はお涙頂戴だろうと思っていた。もとウインドサーファーの端くれとして、また娘に名前をつけるときに大いに彼の存在を意識した者として、行くのが礼儀だろうというくらいにしか思っていなかったのだが、…平静に観ることができなかった。
 冒頭のスラロームシーンに心を揺さぶられた。妻や娘の健気さに心を抉られた。彼らが自分と同じハワイのキャルバリー・バイザシー教会で挙式したことを知った。
 客観的に観たら、そこそこの映画なのだろうと思う。
 個人的には、忘れられない映画となった。