ダーウィンの悪夢★★★

 本日NHK-BS1「ダーウィンの悪夢」が放送されることを知り、急遽観た。
 現在劇場公開中のドキュメンタリーだが、NHKではすでに昨年放送しており、今日はその再放送。へヴィな内容であることが予想されたので、無理して時間をやりくりして映画館に行くほど気合が入らなかったのだが、観たいと思っていた作品なので幸運だった。
 予想されたこととはいえ、アフリカ映画の常で、見終わって疲労感と無力感が残った。
 映画は、アフリカのビクトリア湖で取れる外来種「ナイルバーチ」をめぐり、それを様々な形で飯のネタにせざるを得ない地元の人たちの悲惨な現実と、対照的なヨーロッパの姿を浮き彫りにしていく。
 極度の貧困のため、あふれるストリートチルドレンと売春婦。HIVで次々に死んでいく漁師や妻たち。自分たちの口には決して入らない魚を加工する人たち。ヨーロッパ人、そして日本人が食べるために加工された魚の、蛆が湧く残りかすをかき集めて食べる人たち。魚を梱包するための発泡スチロールを溶かして吸引し、麻薬代わりにする子どもたち。そして、内戦の続くアフリカに流すために武器を積んでやってきては、大量の魚を積んで飛び去っていく飛行機。
 これを観て平気でいられる人はいないだろう。かといって僕らに何ができるのだろう。映画の中でロシア人のパイロットが自嘲気味に言う。「クリスマスに、アフリカの子どもたちに武器を運び、ヨーロッパの子どもたちにブドウを運んだ」
 年金の納付記録がどうとか、ましてや電車が数分遅れたくらいで大騒ぎしているこの国とは一体何なんだ、と、考え込むことしばし。