ボラット★★★★

 金曜に、「ボラット」を一人で観てきた。極め付きの、バカ映画である。
 カザフスタン人のテレビレポーター「ボラット」が、文化学習と称してアメリカに渡り、マイク片手にいろんな一般人相手にリポートをするのだが、これがもうハチャメチャ。ヘンテコな英語で、ユダヤ人やらフェミニストやらゲイやらアメリカ保守派やらをもうめったぎり&コケにしまくり。日本の自称「お笑い」に無いものすべてがここにあるという感じ。
 この映画のミソは、撮影にあたり彼らがカザフスタン人のレポーターとテレビクルーになり切っていたということ。つまり、コメディ映画の撮影だと明かさずに、ダマして撮影しているのだ。まあ、虚実ないまぜになっているので、ヤラセもあるのだと思うが、その境目が分からない。
 例えば、カザフスタン人と偽ったままにアメリカのローカルTVに生出演し、バカをやらかしたり(そのテレビ局の人は後日クビになったらしい)と、カナリたちが悪い。事実、撮影中にスタッフが収監されたり、シークレットサービスに拘束されたりしてるとのことである。
 また、南部保守派の巣窟であるロデオショーの会場で、アメリカの国歌をうたうと見せて、同じメロディーでヘンテコな替え歌「カザフスタン国歌」を歌い大ブーイングを食らうシーンがあるが、ロケ隊が取り囲まれてリンチされそうになったとか。
 しかし、カナリお下劣な映画だ。シモネタ満載で、急所に●印が付いてたりするシーンがまた長いこと!間違って付き合い始めのカップルがデートにこんな映画を見ようものなら、エライことになるだろうなあ。でも、これを面白いと言えるようなら、相当気の合うカップルになることだろう。ちなみに映画館はがら空きであった。…つーかそもそも公開からだいぶ経っており、この映画の悪評?は既に世に出廻っているわけで、この時点でこれを観に来る人は相当のスキ者に限定されている筈である。案の定、人数は少ないながらも映画館は爆笑のウズ(カップルもけっこういたぞ)。
 まあ映画の作りとしては、最初カザフスタン人をバカにしているように見えて、その実アメリカのバカな側面を風刺している。ただしそれはマイケル・ムーアみたいにあからさまではないし、それほど政治性もないので、やっぱり見方によってはただのバカ映画かも…。
 このよーな映画であるからして、善良なる主たる日本人にはまずオススメしません。第一こんなの薦めると、人格を疑われること間違いナシである。しかし白状するに、自分はすっかりツボにはまってしまい、カナリ爆笑した。自分の人の悪さを再認識した次第である。
 でも、以前紹介した「チーム・アメリカ」で笑えた人は、観る価値ありかと思います。
 さすがに★を5つも付けるのは気が引けるので、遠慮して4つですな。