リトル・ミス・サンシャイン★★★★★

ついにDVD化!

 微熱が一月ほど継続しているのだが、本日実家の母親からメールが来た。病院で検査しろだって。ウチのオクサマがちくったのだ。オクサマは、職場で微熱が続いて亡くなった人がいる、だの、だれそれの弟が微熱続きで調べたら心臓に菌が入ってて死にそうになった、とか、世にも恐ろしい話ばかり集めてきて、ハヤク医者に行けとケシカケル。心配してくれんのはいいけどちと大げさすぎ。まあ夫婦で借金抱えてるからね。
 さて映画であるが、熱あるのに借りてくんなと叱られた。でも、これ、本当に楽しみにしていたのだ。リトル・ミス・サンシャイン [DVD]

ヘンテコな登場人物ばかり

 まず、大好きなロードムービーである。移動手段はイエローのワーゲンバス。それだけでもう、ワタクシ的には見る気になるに十分。
 そんでもって一癖も二癖もある人物ばかりの家族。ヘロイン中毒と女好きで老人ホームを追い出された爺さんや、ヘンテコな成功哲学を開発し出版しようとするが失敗するダメオヤジ、自殺未遂したばかりのホモ哲学者の叔父、ニーチェに傾倒し9ヶ月間無言を貫いている、エアフォースパイロット志願の息子、ミスコンに出たいけどふっくら体型の娘など。
 この娘が、偶然ミスコンの出場権を得たことから、家族みんなでおんぼろ車に乗りカリフォルニアに向かう羽目になる。

「負け犬」も悪くないじゃん

 登場人物は、誰もが欠点を抱えたいわば「負け犬」。物語は、道中起こる様々のドタバタ劇を通じて、彼らそれぞれとこの家族の、癒しと再生を描いている。途中、ワーゲンバスが壊れてしまい、ギアを三速に入れないと発進できなくなる。そのため、発進するときには、みんなで一斉に車を押して飛び乗らないといけないのだ。ケンカしようと、落ち込もうと、全員で押さないと走り出さないバス…。
 何が良いって、やっぱり登場人物に向けられた優しいまなざしに尽きる。人間は、失敗ばかりする弱くてバカげた存在かもしれないが、それでもやっぱり生きているということは、ほろ苦くもちょっと素敵である、と思わせてくれるような。
 何と言うか、こういう映画を作る人や、こういう映画に共感できる人と是非友だちになりたいなあと思う。
 基本的にお腹を抱えて笑ってしまうシーンが続出なのだが、思わず涙させられる場面がいくつもある。好きなシーンの一つは、道中ジイサンが亡くなってしまい、病院で落ち込む母をなぐさめるため、9か月間無言の息子が妹に「ママをハグしろ」と筆談用に持ち歩いている(!)メモを渡すところ。笑っちゃうのだが同時に泣けてくる。ちなみにこの後、亡くなったジイサンを車に詰め込んで、ミスコン会場へと向かうことになる…。めちゃくちゃな家族だけど、こんな家族なら一員になってもいいかな(?)
 こういう作品に出会えるから、やっぱり映画ってやめられないんだよね。オススメです!