父親たちの星条旗★★★★

 土曜、なっちゃんがお友達の家にお呼ばれ。ここはチャンスとばかりバージンシネマ六本木へ。
 是非とも観たいと思っていた、「父親たちの星条旗」が目当てである。今やすっかり『巨匠』となった感のあるダーティー・ハリー…もとい、クリント・イーストウッドの監督作品だ。12月公開の「硫黄島からの手紙」との二部作になっている。
 重たい話を淡々と描く手法は相変わらずである。戦争を声高に非難することはしない。戦費調達のため、本人の意思とは無関係に戦争のヒーローに仕立て上げられていく若者三人の姿をただ描くことで、何と言おうか、人として生まれ生きることそのもののやるせなさが、結果として浮かび上がってくるような作品になっている。
 この作品には、「敵」である日本人はほとんど出てこない。見えない恐怖として描かれているだけだ。あえて「憎むべき敵」を描かないことで、かえって戦争の本質や、そこに赴く若者の姿が際立つことになった。
 第二部「硫黄島からの手紙」では、日本人を通し、どんな戦争が描かれているのか興味津々である。