ホテル・ルワンダ★★★★☆
いわくつきの映画
そのテーマの重さゆえ、興行収入が見込めないとして日本での公開が危ぶまれた映画である。詳細は定かでないが、たしかNHKなどで紹介されたことをきっかけに公開の署名活動が繰り広げられ、話題になったと記憶している。世界各国で、数々の賞を獲得している。
1994年、アフリカのルワンダで民族対立から100万人が虐殺された事件を描いた映画だ。
人類必見
一言で言って、事実の重みに打ちのめされるとともに、ものすごい無力感に襲われた。土曜の夜中に見たのだが、何だか日曜の昼まで暗い気持ちを引きづってしまった。
人はここまで愚かで残酷になれるのか、という恐怖、国連や欧米諸国の無力さへの苛立ち、その時日本人は何をしていたのかという怒り、そして自分は何もしなかったという罪悪感。
以前、この事件の背景にあったというラジオ放送について描いたNHKスペシャルを見たことがある。映画の中でも、ラジオによるプロパガンダ放送が人々を駆り立てていく様が描かれている。曰く「裏切り者を皆殺しにしろ」「ゴキブリを殺せ」。放送を鵜呑みにし、凶行に走っていく住民たち。背筋が凍る思いがした。
こういう事実を見せられると、日本で起きている問題など、本当に取るに足らないチマチマしたものに思えてしまう。
映画そのものは、家族を守ろうとするホテルの支配人が、結果として数多くの人々をかくまっていく様子を中心として事件を描いている。ラストでは、はぐれてしまった彼の親戚の子どもに再会を果たす。だが、そんな小さな幸いなど何の助けにも思えないほどに、この映画が突きつけた事実は重かった。
大学の同級生が、現在、国連職員として働いていて、アフリカはソマリアに単身赴任している。それも、子を持つ母である。もともと彼女は銀行に就職したのだが、思い悩んだ挙句、現在の仕事に飛び込んだのだ。先日一時帰国したので仲間と飲んだのだが、そのエネルギーに圧倒された。彼女も今、アフリカの大地で踏ん張っている。
辛いけど、観るべき映画だ。