ポビーとディンガン★★★★★

久々の映画は大当たり

 金曜夜に、久々に映画を観た。ここんとこ仕事&夏モードのため、あまり映画を観てなかったのだが、そろそろ復活かな?
 で、「ポビーとディンガン」。へんてこなタイトルだが、空想上の生き物の名前だから仕方ない。ポビーとディンガン [DVD]
 この映画、笑いと涙の大傑作、「フル・モンティ」の監督が撮ったとあって、公開時からチェックしてたのだが、ようやくDVDになった。これが、期待通りの大傑作!ツボにはまりました。

一見ファンタジー映画だけど・・・

 ストーリーは、一見ありがち。夢を求めてオーストラリアの片田舎のオパール鉱山で働く父親を持つ幼い兄と妹。だが妹ケリーアンはちょっと変わり者。空想上の友だち「ポビーとディンガン」と遊んでばかりで、いまひとつ周りに溶け込めないでいる。そんな彼女を持つ家族は、新参者ということもあって町の人たちからも敬遠され、冷たい仕打ちを受ける。家族も、ケリーアンに少しばかり苛立ちを感じている。
 ある時、ふとしたことから、ケリーアンが「ポビーとディンガンがいなくなった」と言い出し、やがて心配のあまり病気になってしまった。兄アシュモルは妹のために、いるはずのない二人を探しはじめる…。

じつは辛口

 こう書くと、何だか子どもという存在に媚びた甘っちょろいファンタジーを想像してしまうが、さにあらず。ベースには、人間の心の狭さや、ブルーカラー労働者の生活の一端を描いており、フル・モンティの監督ならではの地に着いた視線を感じる。しかも、こういうお話だと、大抵予定調和的なオメデタイ結末を想像してしまうものだが、これが実に苦く、それでいて優しく、感動的なのだ。いやはや、こう来るとは思わなかったな〜。
 「人の優しさ」とかっていうのは、正面切って描かれると、何だかな〜という感じになってしまう。でも、人は皆弱くて自分名勝手なものだという前提に立ったうえで、それでも時に少しだけ、善い人間であろうとする、そういう生の人間をきちんと描いているのだ。ラストは、もう涙をこらえるのに精一杯であった(何せオクサマが隣で見てたからね)。
 主演の女の子も、オーディションで選ばれた地元の子だそうだが、適役なんだな。この子の具合が悪くなるのを見ていると、こちらまで辛くなってきて、早く良くなってほしい!と心底願ってしまった。その意味で、下手なアクション映画よりもよっぽどハラハラである。
 特に、子どもを持つオトーサン(特に女の子)、必見です!