ラヴェンダーの咲く庭で★★★☆

老人映画ずき

 何も、金曜夜中に飲み会終わってから映画を借りなくたっていいだろう、とは思うのだ。それもいかにも眠くなりそうな映画を。でも、貧乏性なので、時間がもったいなくてついつい観てしまう。明日も寝不足だあ。ラヴェンダーの咲く庭で 特別版 (初回限定生産スペシャルアロマパッケージ) [DVD]
 「ラヴェンダーの咲く庭で」。いかにも日本版タイトル、という感じだ。ちなみに原題は、"LADIES IN LAVENDER"。
 何でこんな地味映画を借りたのかと言うと、以前別の映画を観たときに予告編を見て変に気になったからだ。理由は、

  1. 予告に出てきた女優さんが知り合いに似ていた
  2. 老女2人のささやかな恋物語という設定に惹かれた
  3. イギリスの田舎の海辺の街という舞台がそそる

…というところかな。
 あらためて考えると、どうもお年寄りが出てくる映画に惹かれる傾向があるなあ。長い人生を過ごしてきた人たちならではの落ち着いた立ち居振る舞いとか、話しぶりとか、顔に刻まれた皺とか、目とかが好きなんだよなきっと。やっぱり目の綺麗な人には老若男女問わず惹かれます。お年寄りが主人公で好きな映画と言えば、わりと最近観たものでは「ストレート・ストーリー」とか、以前紹介した「キッチン・ストーリー」とかかな。

おとなのおとぎ話

 ストーリーは、おだやかなイギリスの田舎の海辺に、嵐の夜、若い男性が流れ着き、それを2人暮らしの老姉妹が助けるところから始まる。若者はポーランド人で英語ができないが、2人は懸命に世話をする。2人、特に妹は、自分の孫ほどに若い彼に次第に心を惹かれていく。ところが彼がバイオリンの名手であることが判り、村で評判になると、少し謎めいた美しい女性が彼の前に現れて…。
 そもそも、男性が海に漂着する、といった設定からして「あり得ね〜!!」と言うなかれ。だってこれは、おとぎ話なんだから。話は相当に荒っぽいし、ストーリーもそんなに深くない。途中で出てくる戦争のエピソードとか、姉の過去の悲しい思い出とか、若い彼に嫉妬する村の男の仕打ちとか、いろいろの要素は出てくるのだがどれも中途半端で、いまいち話の本筋に絡んでこない。
 でも、全部許す!
 やっぱり、成就しない恋ってのは、美しいんだよ。たとえそれが老女が若者に抱く恋であっても。そこに、美しいバイオリンの調べと、田舎の海の光景、洗練されてないけど暖かい人間たちが絡めば、もうそれだけでいい。
 あー、それにしても「悲恋もの」に弱いなあ。
 しかし、タイトルは「ラべンダーの咲く庭で」なのに、ラベンダーなんか出てきたっけ?少なくとも、パッケージの写真のような光景は無かったぞ。アレはたぶん、富良野かどっかの合成写真ですね。