キッチン・ストーリー★★★★★

　この映画を観たのは、1月なのでだいぶ前。でも、強い印象が残っている。とても気持ちの優しくなれるおとぎ話だ。
　ノルウェーの独身男の一人暮らしを調査することになったスウェーデン人の調査員、という設定からして現実離れしているが、何だかありそうな話に思えてくる。
　なにせ一日、キッチンの端っこに脚立を置いて、その上に座ってノート片手に監視するのである。お互い話をしてはいけないというルールがかもし出す気まずさと、少しずつ生まれてくる心の交流。少し退屈なのかな、と覚悟していたのだが、全くそんなことはなかった。クスッという笑いあり、涙ありで、全く飽きさせない。
　だいいち、パッケージ写真にもあるが、まさに北欧デザインのキャンピングトレーラーを引っ張る旧式のセダン。これが雪の北欧を行列して走るシーン、こんなシーンだけでも美しくてわくわくしてしまう。
　こういう映画があるから、地味映画って目が離せない。だってハリウッドでこんな映画作ることなんかゼッタイにあり得ないもんね。