セントラル・ステーション★★★★★(殿堂入り!)

セントラル・ステーション [DVD]

セントラル・ステーション [DVD]

 ブラジルの雑踏から、人間の生命力が湧き上ってくる。近代化した日本からは消えてしまったような、強烈なエネルギー。それゆえ、その中にある人間の優しさがとても際立つ。ブラジル映画と言えば、最近ヒットした「CITY OF GOD」がある。シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]こちらは貧しさゆえにギャング化していく子どもたちを描いた、別な意味で強烈な映画だったが、映画が発散する強烈なエネルギーは同質かもしれない。
 でも、何というやさしい映画だろう!
 臓器売買も辞さない、インチキ代筆業を営む(そういう職業が成立することそのものが我々からするとドラマチックだ)の性悪女ドーラが、次第に心を開いていく過程が見事に描かれている。しかし、「ドーラ」って、悪そうな名前だな。
 かつて一人で、たしか下高井戸かどこかの小さい映画館で観たが、ボロボロに泣けてしまい、席を立つのが恥ずかしいくらいになってしまった・・・
 こんな地味映画が、DVDで観られるのだから、映画好きにはいい時代だ。