イル・ポスティーノ★★★★★(殿堂入り!)

イル・ポスティーノ [DVD]

イル・ポスティーノ [DVD]

 究極の「ダメ男映画」である。この映画も、もともと『青』のイメージに惹かれて観た。個人的には、舞台がイタリアの小島、青い海をバックに自転車をこぐ郵便配達、という舞台設定だけで合格なのだが(?)、ストーリーも舞台に劣らず美しい。DVD化されるのをずっと待っていたのだが、近年ようやく発売された。一時期は、レーザーディスクでもいいから手元に置いておこうかと思ったくらいだ(当然プレーヤーは持ってません)。
 こういう映画は、手紙のやり取りが殆ど無くなった現代が舞台では、もはや成立しないのが寂しい。電子メールやケータイでは、風情もへちまもあったもんではない。学生時代に大阪の友人と文通(死語!)してた自分は、激しくそう思うのである。
 そもそも、自分には手の届きそうもない女性を、詩人の手を借りて詩で口説くという設定からしてロマンティックではないか。こういうやり方は、我等日本男児には困難だろうなあ。しかも、イタリア映画らしい陽気さが全編に漂っており、湿っぽくない。それでいて、ラストは、しっかりメッセージを観る者の心に残す。BGMの切なげな調べも、あとあとまで余韻を残して離れない。
 マリオ役の俳優、マッシモ・トイロージ氏が、映画の完成を待たずして他界したというエピソードもあって、話題を呼んだ。