出銭土地

okasurfer2008-02-04

出銭ランド紀行

 今を去ること一週間前、あの「出銭ランド」に泊りがけで行ってきた。
 強力な西高東低の気圧配置による今年一番ともいう厳寒のなか、中国語や韓国語が飛び交う激・混雑空間での2日間の修行である。無事お勤めは済ませたものの、心身ともに疲労困憊及び衰弱し、記録する気力を回復するために概ね一週間を要したこととなる。今週末は休日出勤だったしな。
 出銭ランド、またの名をネズミーランドとも言うが、恥ずかしながら告白するに、妻がその宗旨に感化されており、しきりと家族に帰依を薦めて来るので気が抜けない。昨年は、ムスメのノロウイルス感染など諸般の事情により二度も行く羽目となった苦い経緯があるのだが、本年は早くも一月に一度目の修行に赴く結果となり、先が思いやられるのである。

着ぐるみの乱舞

 出銭ランド内に多数生息する着ぐるみ集団においては、オス・メス都合二匹のネズミの着ぐるみがヒエラルキーの頂点に君臨している。国内外の信者たちは、他のいかなる着ぐるみ、及び場合によってはメリケンより渡来したと思われる生身のイケメンあるいはお姉様よりも、このネズミの着ぐるみに心酔しているのだ。
 あまり人の宗派をけなすのは大人気ないと思い、引きつった笑顔をキープしながらひたすら人ごみを耐え忍んだが、それを良いことに妻は、こともあろうに昼と夜の二度にわたり、着ぐるみの仮装行列を見たいとのたまい、寒風吹き荒ぶ中、行列開始の30分も前から沿道に「座り込み」をするというのである。信者が跋扈する園内では、もはや無駄な抵抗はしまいと決めていたので、これも修行の一環と、地べたから上がってくる冷気にひたすら耐える。
 おりしも先般、出銭ランドで仮装行列中の山車から重量物が落下するという事故があり、いつ着ぐるみが空から降ってくるかと気が気ではなかったのだが、幸い何事も無く行列は終了した。
 更に夜間の行列では、「灰かぶり姫」(注:死んでれら)のまがい物が、ハリボテの城の前でネズミや野獣らの着ぐるみに囲まれて模擬的に「戴冠式」を挙行するという。信者の列にまじり、寒さに震えながら遠くから眺めていると、舞台の一部がやにわに高くせり上がり、こともあろうに衆人環視の中「姫」が「王子様」にキスをするではないか!!なんたる破廉恥!こちらは保育園児を連れているのである!教育的悪影響を考えてもらいたいモノダ。

ひきつづき泊りがけで修行…

 夜は、団体が経営する合宿所「アンバサダーホテル」において束の間の休息が許される。ただしこの合宿所内には、そこかしこにネズミをあしらった装飾がなされているうえに、テレビをつけても「出銭ランド」に関する洗脳ビデオが流されており、気が抜けない。
 恐ろしかったのは、親の宿泊手続き中、洗脳ビデオを見せられた子供たちが、恍惚状態となって無言でテレビに向かう姿であった。それはさながらハーメルンの笛吹き男か、はたまたピノキオが連れて行かれた「遊んでばかりの子どもがロバにされる国」のようであった。我が娘もその一団に紛れていたのは痛恨の極みである。
 更に、この合宿所の昇降機は、驚くべきことに、宗派の象徴であるオスの大ネズミ「ミッキー」による、オッサンの裏声のような声色でしゃべるのである。曰く「3階だよ〜!」「ロビーにとうちゃ〜く!」など。運悪くどこかの見知らぬおっさんと2人きりで乗る羽目になった場合の気まずさったらない。

フィナーレは出銭海

 無事朝を迎え、朝食は「シェフ・ミッキー」とかいう施設でとることとなったが、これが曲者。何せ5分おきに着ぐるみが襲ってくるという、極めて過酷な環境下で食事を強いられるのである。着ぐるみ達は、強襲のたびに、いちいち子どもと一緒に修行の記録写真を残せと身振り手振りで強要してくるので始末が悪い。こいつら着ぐるみの下で大汗かいてるんだろうなーと思いつつ、フィルムを数十枚も浪費するのであった(デジカメだっつーの)。
 2日目は、「出銭海」での修行。世にディズニーシーとも言われている。
 こちらは「ランド」に比して人気が無いらしく、比較的空いている。ただしこちらの町並みは、古今東西を滅茶苦茶に混ぜた代物ではあるものの、『海』がモチーフになっているため、小生も…意外と好き。
 妻に引っ張り回され、さすがに娘も目に隈ができているので、ここは少し修行の手を緩めてもらうこととする。妻はどうしても「地球の中心」(センター・オブ・ジ・アース)なる展示物が体験したいというので、小生がムスメとメリーゴーランドで無駄な回転運動をしている間にひとりで行ってもらうこととした。ちなみに数年前、妻と2人で来た時には、「センターオブジアース」、三回も乗せられた苦い経験がある。くわばらくわばら。

次は何時になることか・・・

 こうして、ひとり妻を除き、ムスメと小生は心身ともに激しく疲労しながらも、修行は無事?終了した。
 しかし、妻にとってはこの善光寺参り、効果が長続きしないらしい。帰るとすぐ「また行きたい」と言い出した。まさに麻薬のごときものなのか。おそるべし出銭効果。
 こんどは、同じ宗派の友人を探して行っていただきたいものだ。
 最後に、着ぐるみの仮装行列で見かけたおぞましい着ぐるみのごく一部を記録したので以下に紹介し、筆を置くこととする。