積読

 しかし、生来のビンボー性ゆえ、多少まとまった休みが取れると思うと、読めるわけないとは知りつつも、ついつい本を買い込んだりしてしまうのだ。
 今年、年末頃に買い込んだのは「ウルトラ・ダラー(手嶋龍一)」「生物と無生物のあいだ(福岡伸一)」「壊れる日本人(柳田邦男)」「サクリファイス(近藤史恵)」「毎日かあさん3,4(西原理恵子)」「ロング・グッドバイ(レイモンド・チャンドラー/村上春樹訳)」といったあたりかな。
 このうち実際に読めたのは、「ウルトラ・ダラー」と「ロング・グッドバイ」を除く各書。もっとも、年末からぼちぼち読んだのを除き、純粋に正月休みに読んだのは「生物と無生物のあいだ」「サクリファイス」」くらい。

生物と無生物のあいだ生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 このうち前者は、サントリー学芸賞も受賞した新書で、「生物と無生物の違いは何か」という一見当たり前に思える問いについて、分子生物学者の著者が詩的な文書で綴ったもので、ひどく面白い読み物だった。特に、生物を波打ち際に作った砂の城に例え、人間はたとえ外見は同じでも、人間を構成する細胞は短期間ですっかり入れ替わってしまっていることなどを説明した部分には、感動を通り越して切なさまで覚えてしまった。
 科学を扱った新書でありながら、推薦の帯に名を連ねているのが、よしもとばなな最相葉月高橋源一郎茂木健一郎・・・といった名だたる人たちであるのもむべなるかな。是非読むべきオスス本です。

読みやすく爽やかな感動サクリファイス

 近藤史恵氏の「サクリファイス」は、「このミステリーがすごい!」などで上位入賞した話題作ということで手にした。日本人にあまり馴染みのない「自転車ロードレース」を題材に、ある「犠牲」をミステリー仕立てで描いているのだが、ボリューム控えめで読みやすくて読後感爽やか。あんまし重くないのが読みたい時にオススメ。正月休みにちょうど良い感じでした。