カイロ行き

 昨日は、10年来の知り合いの記者がカイロに赴任することになり送別会。そういえば先日は、別の知り合いの記者がモスクワに赴任したばかり。
 子連れでの赴任とのことで、大変だなーと思う反面、ちと羨ましくもあり。数年後、きっと日焼けしたヒゲ面で再会することだろう。気を付けて!

たからもの

 こちらは送別会だが、オクサンが仕事で午前様になることが確定していたので、深夜までのお付き合いとは行かず、9時過ぎには退散。ベビーシッターさんとバトンタッチし、さっさと家事を済ませて早速なっちゃんを寝かせにはいった。初めははしゃいでいたなっちゃんであるが、こちらが寝たフリをはじめると、何だか鼻をすすっている。ん!?ひょっとして泣いてる?
 薄目を開けて見ると、しきりと涙を拭いている様子。狸寝入りをやめて「どうしたの?」と訊くと、「だいじなピンどめが、こわれちゃった〜!」と言ってわーっと泣き出してしまった。ありゃりゃ…
 保育園に、ビーズの花がついたお気に入りのピンどめをしていったのだけど、以前にばーばからもらった雑誌の付録で作りが安っぽかったらしく、針金が切れて花がバラバラになってしまったのだ。幸い、先生が拾って小さな袋に入れ、持ち帰らせてくれたようだ。
 「お休みの日に、パパがちょっと魔法をつかって直してあげるから、なっちゃんもいっしょに手伝ってよ」と言うと、しゃくりあげながらも頷いている。
 そんなに泣くことないじゃん、と思いながらも、なっちゃんの気持ちはよくわかる。大事にしていたものが目の前でバラバラになるというのは、ちょっとした喪失感を伴うものなんだよね。花が壊れて、小さなビーズのかけらになって飛び散る様子を想像したら、何だかこっちにも物悲しさが伝染してしまったぞ。
 暗がりの中できっとその様子が瞼によみがえったのだろうなー、などと考えていたら、ふと変な光景が脳裏によみがえった。もう25年も前になるが、実家の引越しがあり、真新しい空っぽの家に新しい冷蔵庫が来た。それと入れ替えに、今から思うと骨董品モノの、木目調ドアがついた冷蔵庫を業者が引き取っていったのだが、むき出しの荷台に、ぽつんと一台だけ古い冷蔵庫を乗せて去っていくトラックの姿を思い出したのだ。当時は小学生だったが、何だか悲しかったんだよなー。
 まあ何にせよ、モノを大切にするのはいいことである。今度の休みは、ホームセンターで針金でも買ってくるとするか。