okasurfer2006-05-12

愛犬の死

 ついに、その日が来てしまった。
 実家で飼っていた愛犬「クッキー」が、今日死んだ。享年15歳。
 ゴールデンウイークに実家に帰ったときには、もう足がよれよれになっていたので、もう長くは持たないな、と思っていたけど。昨年来がんに罹ったうえ、目は白内障、耳もあまり聞こえない、という状態だったので、時間の問題ではあった。
 昼に母から届いたメールにひとこと「今死んじゃった」とだけあって、ひどくやるせない気分になった。
 ここ数日、枕元に付きっ切りだった母は、相当こたえているようだ。無理もないな。犬とは言え、一緒に暮らすと家族同然になるから。

おちゃめな小心者

 彼がウチに来たのは、僕が大学5年(?)のとき。突然父が「犬を飼うぞ!」と言って、次の日には連れてきた、という感じだった。名付け親は、8年前に家出してしまった末の弟。ちっちゃくてキャンキャン吠えては走り回っていたのをよく覚えている。
 まだ子犬のとき、高いところから飛び降りて前足を骨折、さらにもう一度、車に前足を轢かれて、複雑骨折した。だから足には今も金属のプレートが入っていて、大人になってもちゃんと曲がらず、少しぎこちない歩き方だった。
 人懐っこいクッキーは、昼間は外に出していたので、そのうち近所の人気者になり、塀の隙間から顔をのぞかせて、通学途中の子どもたちや、近所を散歩するおじいさんおばあさんによく話しかけられていた。
 寂しがりで、何故か僕にひどくなついていて(犬っぽいのかな、よく犬に好かれるんだよな)、座るときいつもからだの一部を僕にくっつけてくるのが何だか可笑しかった。
 以前クッキーがおなかを壊し、たぶん気持ちが悪かったのだろう、入ってきてはいけないことになっている2階の僕の寝室の前に来て、クンクン鳴いて入れてくれとせがんできたことや、雷が鳴って、驚いて僕の部屋にすっ飛んできて震えていたこと、叱られて「お仕置き部屋」(物置)に閉じ込められ、耳をたたんで上目遣いでしおらしい顔をしていたくせに、しばらくして許されたら喜び勇んで飛び出してきたこと、寒い冬、皆が寝たあとで、一階で物音がするのでそっと降りてみると、あわてて乗ってはいけないソファの上のふかふかのムートンから飛び降りてきたこと…。いろいろ思い出すが、ひどく人間くさいヤツだった。

最後のお散歩

 その後就職して、一人暮らしをはじめたけど、たまに帰省すると、いつも飛びかかってきて大喜びしてくれたものだ。

 結婚してなっちゃんが生まれ、実家に帰っても主役はなっちゃんになってしまい、こちらも昔ほどクッキーにばかり構っていられなくなり、晩年はちょっと寂しかったかもしれない。
 GWに、最後かもしれないと思いながら散歩に連れ出したが、本当にあれが最後になってしまった。いつも、遊びに行くと、「久しぶり!」と「おやすみ!」と「おはよう!」と「またね!」の4回、クッキーのあったかいおでこに、僕のおでこをくっつけてあいさつしていた。あのあったかくてふかふかのおでこの感触は、今もすぐに思い出すことができる。
 まあ、15歳も生きたわけで、大往生だね。
 さよならクッキー。天国で、また駆け回ってくれ!