島紀行

島の朝

久々の上陸

 この土日、なっちゃんと2人で某離島に出かけてきた。
 僕が以前2年ほど住んでいた島である。行こう行こうと思いながら、仕事と生活に追われ、実はかれこれ10年ほど足が遠のいていたのだが、今回ちょっとした集まりがあり、島内外から百数十人規模が参加するというので、チャンスと思い出かけたのだ。
 とはいえ、例によってオクサンは仕事。やむなくなっちゃんと2人で行くことにしたわけである。

タイムスリップ

 現地の風が強く、飛行機は条件付で出発したのだが、案の定着陸に難儀し、横からの強風に大きくあおられながら都合3回も着陸にチャレンジした挙句、ようやく成功。乗客からは拍手が沸き起こる始末。一度など後輪が接地したあとまた加速して上昇したり、スリル満点でした。うしろに座ってた乗客など、「そこらのジェットコースターより怖いよ〜」と参った様子。さすがのなっちゃんも「気持ちわるーい」とすっかり酔ってしまい、椅子のうえで「だんごむし」(本人談)になっていた。
 10年経ってすっかり島の様子も変わったかと思ったが、やはり住んでいただけに、すぐに当時の地理感覚を取り戻してあちこち回ることができた。もうすこし早めに来ればよかったかな、という思うことしきりである。なっちゃんと2人、お気に入りの入り江に出かけたり、海を間近に見る露天風呂につかったりと、久々の島を満喫した。

情の厚さに感激

 住んでいた当時は若かったこともあり、島の人たちには相当可愛がってもらった(いろいろ鍛えられもしたけど…)。今回も、行くことを告げたのは一人だけなのに、車を貸してやるだの(実際借りました)、家に泊まれだの、本当にいろんな人に声をかけてもらった。会えることを楽しみにしてくれる人たちがたくさんいて、本当に感謝であった。
 島を回っている途中、当時だいぶ世話になったおばちゃまの家に立ち寄ったところ、具合が悪くなって皆が集まる夜の会合に急に出られなくなったとのことで、会えてよかった!と本当に喜ばれ、こちらも恐縮してしまった。彼女が出席できないことを言付けた方に夜お会いしたのだが、「昼に、泣きそうな声で電話があり、具合が悪くて行けなくなったのでくれぐれもよろしく伝えてほしい、と何度も言われた」とのことで、嬉しいやら久しくご無沙汰してしまったのが申し訳ないやら。
 島の人たちは独特の乱暴な「島ことば」を話すので、傍目にはケンカを売ってるように聞こえるのだが、久々に聞くとその響きもなんだか心地よかった。
 当時は乱暴な言葉でずいぶんいろいろ言われ、意味がわからなかったり、へこんだりしたこともあったものだが、そういう人たちがすっかり好々爺になっていて、優しい島言葉で「今度来る時はウチに泊まればいいじゃ」なんて何回も言われると、不覚にも目頭が熱くなってしまうのであった…。

また来ようね

 なっちゃんは、パパと2人旅なのにぐずったりもせず、いたって快調。夜の宴会でも、百人を超える大人の中、みんなに可愛がられて、すっかりご満悦。もっとも、おいしい食べ物がたくさんあったせいもあるかな。
 帰りには、朝一番の便にも関わらず、わざわざ空港まで何人か見送りに来てくれて、いろいろお土産をいただいた。本当に有難いことだ。遠からず、また行きたいなと思う。でも今度は、やっぱり夏がいいな!