続・報道ステーションが日本を滅ぼす
銃撃の背景に
長崎市長銃撃事件の後日、NHKや朝日新聞の分析報道を見た(但し他紙は読んでいない)。
- 日本は銃社会になったというイメージがあるが、銃撃事件自体は減少している
- 企業や行政で暴力団の締め出しが進んでいる。長崎市では、入札制度の改革により暴力団関係企業が排除され、シノギの手段を失って上納金が納められない暴力団が凶行に走ると言う構図があった
といったような趣旨。なるほど、と思う。
極論すれば、こういう話は「報道ステーション」的には取り上げにくい。何故なら彼らの考えそうなストーリーに照らせば、今回の事件は
- アメリカでも銃撃があった。日本でもあちこちで銃撃が起きている。銃撃事件が増えているに違いない。日本もアメリカ並みの銃社会だ。ああ恐ろしい。
- もともと企業や行政と暴力団は闇でつながっているに違いない。企業や行政がきちんと対応しないから、こういう事件が起こるのだ。
…となるだろうから。
かくして、まともな分析は、視聴者受けしない(と彼らが勝手に評価した)から、報道ステーションで紹介されることはない。
あるいは、もともと作り上げたストーリーを垂れ流す手法に慣れてしまい、記者の取材能力が劣化してしまったか、あるいは製作者がそのことにすら気付かなくなってしまっているのか。
タミフルのときだって…
自分たちで作り上げたストーリーにのっとって取材をすすめ、もし違う結論が出ようともそれを無視するような体質は、あるある事件を見るまでもなく多かれ少なかれマスコミに染み付いている。
最近、タミフルの服用による異常行動が問題になったが、あの時もそういう傾向の報道が目立った。
タミフル問題のときも、報道ステーションはじめマスコミは、厚労省の天下り役人が製薬会社にいたことと、タミフルの使用制限問題を関係付けて報道していたが、あれだってかなり乱暴な憶測である。もちろん天下りそのものは腹立たしいけど。
ただ、あの時「報道ステーション」にゲスト出演していた、タミフルに詳しい医師の方は、恐らく作り手の意図に反した実にニュートラルなコメントを発していて、見ていて爽快だった。確かコメントの趣旨は、
- 世界のタミフルの9割(だったかな)が日本で消費されているのは、そもそも外国ではインフルエンザで病院に行く習慣がないから
- 日本では、世界一迅速な診断が行われており、その結果インフルエンザであるとの確定がすぐにできるためタミフルを処方することが可能となっている
- 日本ではタミフルは年間○○○百万人(人数は忘れた)に処方されている
- もともとインフルエンザでは異常行動が見られるので、それがタミフルのせいであると判断するのは現時点では難しい
- 有効な薬はタミフルしかないのが現状であり、それで命を救われている患者が圧倒的に多い
といったようなものだったと記憶している。
こういうふうに、冷静にコメントして下さる方がいればいいのだが、大抵のゲストは視聴者に日和るので、番組が決めたストーリーやキャスターの空気に左右され、結果として視聴者に正確な情報が伝わらないことになるのが多くのパターンだと思う。
断っておくけど、僕は別に厚労省や製薬会社の関係者ではない。ただ、以前20代前半の頃、インフルエンザで一週間高熱が続き、処方されたある解熱剤を使用して意識が混濁し、病院に担ぎ込まれて点滴を受け、事なきを得た経験がある。
報道機関には、是非ともニュートラルな立場で、いろいろな視点・側面からの情報を提供すると言う役割に徹してもらいたいもんだと切に思う。