なっちゃんETで号泣!

E.T事件

 ちょっと前、なっちゃんを寝かせていたら「お話し」をせがまれた。なっちゃんは絵本や物語が大好き。保育園に迎えに行くと、ちょうど紙芝居の時間なのだが、いつもいちばん前で、文字どおり食い入るように身を乗り出している。E.T.コレクターズ・エディション [DVD]
 寝るときのお話しは、大抵テキトーな作り話を聞かせるのだが、たまには趣向を変えようと、映画「E.T」のストーリーを話して聞かせた。もちろん、なっちゃんが好きそうな話と知っての確信犯である。
 そしたら、思った以上に食いつき(?)が良い。ストーリーの細かいところを、「どうして大人たちは追いかけてくるの?」とか、根掘り葉掘り訊いてくる。しかも、パパの話が相当上手なのか(!?)、寝ながらナント涙ぐんでるのだ。かわいい奴…ということで、先週末の夜、DVDを見せることにした。

つかまるのがイヤ

 さて、DVDを楽しみにしていたなっちゃん、見始めてしばらくは食い入るように見ていたのだが、E.Tがエリオットの家のクロゼットに隠れたあたりで何だか様子がおかしくなってきた。どうやら、見ながらしくしく泣いているのである。まだ感動のシーンじゃないじゃん。…そうこうするうち、エリオットのママが部屋に様子を見に来るところで、ついに大声で「うわ〜ん!!」と号泣!なんだなんだ、どうしたどうした??聞いてみると、しゃくりあげながら「E.Tがつかまるのがイヤなの!」という。ありゃ、ちょっと刺激が強すぎたかな?あわててテレビを消し、寝かせることにした。

夜中のブランコ

 ところが、ママとふたりでべッドに入ったと思ってたら、しばらくしてまたまた「うわ〜ん!」という泣き声が。あわてて行ってみると、しゃくり上げながら大泣きしている。なんとかなだめすかして寝かせようとしたが、すっかり号泣体制に入ってしまい、止まらない。ママはイライラモード。
 こういう時は、気分を変えてやらないとダメである。そこで、よし、散歩にでも行くか!と、なっちゃんをベッドから担ぎ上げ、パジャマのまま近所の公園に出かけることにした。ママは「二人で行けば!」とプリプリであるが、こういう時は三人でいくのが肝心なのである。とにかく行くぞ、と無理に連れ出した。
 肩車して夜中の公園に行き、しばし滑り台やブランコで遊んだ。三人で「グリコのおまけ」をやる頃には、すっかり笑顔が復活。よかった…。帰宅後は、寝室に間接照明を点け、少し明るくして寝かせた。さすがに疲れたらしく、背中をトントンしているとすぐ眠りに落ちた。いやはや、子どもの感性は敏感なんだな〜。特になっちゃんはその傾向があるのだな。

悲しいドラマは嫌い

 妻にもよく指摘されるのだが、実はなっちゃんの感性、非常に僕に似ていることに最近気づいた。僕は、人が意地悪されるドラマとかが基本的に大嫌いである。「おしん」とか「チャングム」とか、正視できない。子どもが犠牲になるニュースとか、難病の子どものドキュメンタリーなんかも絶対見たくないので、途中で消してしまう(オクサンはまさに正反対で、よく「消さないで!」と怒られてケンカになる)。人が悲しんでるシーンとか、嫌な思いをするシーンは、できれば見たくない。なっちゃんもどうやら非常にその傾向が強いようで、「人が意地悪されるところ」とかが大嫌いなのだ。
 今日、オクサンは残業で遅いので、なっちゃんとゆっくりお話ししていた。すると、なっちゃんが「なんだか、なにかをかんがえると、ずーっとそのことばっかりかんがえちゃうことがあるんだよね」と言う。「かんがえるのやめようっておもうんだけど、あたまがそのことでいっぱいになっちゃうの」わかるわかる。
なっちゃん、E.Tのこととかかんがえると、そのことばっかりかんがえちゃうの。それで、保育園の、テーブルのしたにかくれちゃうの。」純粋な奴だな〜。そんなにひきずってたの!?そして「さいしょに、ETが、なかまたちとはなれて、おいていかれちゃうところがかわいそうでたまらないの」と言いながら、また目に涙をいっぱい貯めている。よしよし、素敵な感性だね。思わず「ぎゅ〜」してしまった。

トラウマ解消?

 となると、話は早い。E.TがかわいそうなままでDVDを見るのをやめちゃったのがまずいのだな。「じゃあさ、E.Tが、最後に皆と逃げ出して、仲間が迎えに来て、宇宙に帰るところだけ見る?」と訊くと、「うん、見る!」。早速見せることにした。
 E.Tが死んでしまったと思ってエリオットが別れを告げるシーンから見始めると、さっそくなっちゃんが涙声で「悲しいのは見たくないの」と言う。すまんすまん。そこで、有名な、BMXで皆で逃げるシーンから見始め、空を飛ぶシーンを見せた。そしたらなっちゃん「わあっ、すごーい!」と声を上げ、拍手してる!
 最後、E.Tがエリオットに別れを告げて、抱擁するシーンでは、なっちゃんはしきりと涙をぬぐっている。でも「よかったね!」と言うと、「うん!」と満足げ。ああよかった。これでトラウマ解消かな。寝るときも、「E.Tってすごいね〜」と、すっかりポジティブマインドに。
 4歳と言っても、侮ってはいけないんだなあ、本当に。この時期の情操教育って大切なんだなと再認識。あんましなっちゃんの前で、変なことを言わないように気をつけようと改めて思ったのであった…